公家の紋章は、院政時代から鎌倉時代にかけて始まったと言われています。当初は家を象徴するものではなく、自分と他人の持ち物を区別するための目印として用いられました。好みの品や道具、花鳥風月をモチーフにしたものが多かったそうです。
●摂関家(五家)
公家の家格として最高位で、大納言・左右大臣を経て、摂関・関白に昇任できる家筋。藤原北家の流れを汲んでいる近衛家、九条家、二条家、一条家、鷹司家の五家。
近衛家 近衛牡丹 |
九条家 九条藤 |
二条家 二条藤 |
一条家 一条藤 |
鷹司家 鷹司牡丹 |
●清華家(九家)
公家の名門の一つで摂関家に次ぐ家格。大臣・大将を兼ねて太政大臣まで昇任できた。明治以前は華族とも言われた。もとは七家だったが、後に九家になった。
三条家 三条花角 |
西園寺家 右三つ巴 |
徳大寺家 徳大寺家花菱崩し |
久我家 久我竜胆 |
花山院家 中山杜若 |
大炊御門家 菱に片喰 |
今出川家 糸輪に三つ楓 |
広幡家 十六裏菊 |
醍醐家 下がり藤 |
●大臣家(三家)
摂関家、清華家に次ぐ公家の家格。左右大臣まで昇任でき、太政大臣にも昇任できるが、清華家とは異なり、武官の最高位である近衛大将を兼ねることはできなかった。
正親町三条家 正親町連翹 |
三条西家 八つ丁子 |
中院家 六つ花竜胆 |
●羽林家(家名が多いため、家系別に分類した上で家紋で分類表示)
大臣家に次ぐ家格で名家と同列。大納言を極官とする武官職の家柄である。
閑院流 (正親町連翹) 姉小路 |
閑院流 (唐花紋) 阿野/風早/河鰭/ 高松/中園/西四辻/ 花園/山本/四辻 |
閑院流 (三つ藤巴) 梅園/裏辻/正親町 |
閑院流 (左三つ巴) 大宮 |
閑院流 (右三つ巴) 小倉 |
閑院流 (六つ丁子) 押小路 |
閑院流 (四つ割り菱) 清水谷 |
閑院流 (花菱) 滋野井/園池 |
閑院流 (三つ尾長巴) 橋本 |
閑院流 (三条花角) 武者小路 |
閑院流 (藪杏葉) 藪 |
閑院流 (抱き杏葉) 高岡 |
花山院流 (花杜若) 今城/中山/野宮 |
花山院流 (花菱) 難波 |
花山院流 (飛鳥井銀杏) 飛鳥井 |
中御門流 (抱き杏葉) 松木/持明院/園/ 東園/高野/岩野 |
中御門流 (老懸杜若) 壬生 |
中御門流 (花杜若) 石山 |
中御門流 (丸に抱き花杏葉) 六角 |
御子左流 (片喰) 入江/藤谷/上冷泉 |
御子左流 (雪持ち笹) 下冷泉 |
四条流 (田字草) 四条/西大路/櫛笥/ 油小路/八条 |
四条流 (稲妻菱) 山科 |
四条流 (対い鷲) 鷲尾 |
水無瀬流 (十六菊) 水無瀬/七条/町尻/ 桜井/山井 |
高倉流 (笹竜胆) 堀河 |
高倉流 (釣り巴) 樋口 |
宇多源氏流 (笹竜胆) 綾小路/大原/庭田 |
村上源氏流 (笹竜胆) 岩倉/梅溪/愛宕/ 久世/千種/東久世 |
村上源氏流 (丸に笹竜胆) 六条 |
村上源氏流 (植松竜胆) 植松 |
●名家(家名が多いため、家系別に分類した上で家紋で分類表示)
大臣家に次ぎ、羽林家と同列の家柄。文官職を経て最高は大納言まで昇進できる。
日野流 (鶴の丸) 日野/柳原/日野西/ 烏丸/勘解由小路/ 裏松/外山/豊岡/ 三室戸/北小路 |
日野流 (向かい鶴) 広橋/竹屋 |
勧修寺流 (勧修寺笹) 甘露寺/勧修寺/ 万里小路/中御門/ 池尻/梅小路/堤/ 岡崎/穂波 |
勧修寺流 (四つ割り菱) 葉室 |
勧修寺流 (篠笹竹の丸) 清閑寺 |
勧修寺流 (坊城雀) 坊城 |
勧修寺流 (三つ集め雀) 芝山 |
高棟王流 (揚羽蝶) 平松/交野/長谷 |
参考資料:家紋大図鑑/丹羽基二著・家紋から日本の歴史を探る/ごま書房・ウィキペディアほか