
錨|いかり
浅い海で船体をつなぎ止めるための重しが錨の役目です。元々は石や木を使っており「碇」の字を当てていたのですが、時代が下がって鉄製となりました。猫の爪のように引っ掻く形状ですので「錨」という字が生まれたそうです。面白いですね。船をつなぎ止める威力、形の力強さから紋章になったのでしょう。珍しい紋ですが、明治以降近代になってから、形が制定されたものもあり、けっこう形のバリエーションは豊富です。

石|いし
石畳ともいいます。四角い石を地面に敷いた幾何学的な紋様です。連続したものは霰(あられ)模様といい、皆さんご存じの粋な「市松」はこれに当たります。シンプルかつ印象的な紋として、平安時代から使われてきました。
神社に石畳を使うところから、...

糸巻|いとまき
紋様としては古くからあったようですが、家紋として成立したいわれは定かでないようです。おそらく理由としては、形状の面白さに加え、日用品として身近な存在だったことでしょうね。
一つ糸巻
重ね糸巻
枠糸巻
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団扇|うちわ
団扇は、紙を貼った一般の団扇、天狗が持つとされる羽団扇、戦場の采配に用いる軍配団扇の3つに大別されます。
形状の面白さに加え、その実用性や天狗伝説、采配の道具として武家にも縁が深いところから、様々なデザインバリエーションがあります。源...

烏帽子|えぼし
古代の帽子の一種です。平安時代には公家は円筒状の立烏帽子、武家はちょっと先が折れた折烏帽子を着用したとあります。やがてそれが庶民にもファッションとして広まったようです。
家紋としての成立のいわれは定かでありませんが、元々が男子のかぶり...

扇|おうぎ
団扇を携帯用に便利に折りたためるようにしたものが、扇です。実用性だけでなく優雅な身の回り品として、現代でも様々なシーンで使われていますね。和の紋様としても人気があります。
古来、扇には神が宿ると信じられており、守護的な意味合いがありま...

櫂|かい
珍しい紋ですね。帆や錨などと同じく、船にとってはなくてはならぬ大事なものですから、海事にゆかりがある紋とされています。
三つ違い櫂
丸に違い櫂
丸に違い櫂2
丸に三つ組み櫂
三つ組み折り櫂
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鏡|かがみ
鏡は江戸時代末期にガラス製のものに置き換えられるまで、研磨した金属製でした。姿が映ることから、古代の人はその神秘性を崇め、魔除け、宝として珍重しました。鏡のイメージを単色で表現するのは難しかったのか、紋の数は少ないのですが、そのほとんどが神...

笠|かさ
笠は傘とは違います。傘は柄のある傘を指し、笠は頭にかぶる「かぶりがさ」を指します。笠には用途により市女笠、足軽笠、深被り笠、神宮笠、花笠など色々な種類があります。その形状の面白さから、家紋にもたくさんのバリエーションが生まれました。
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舵|かじ
舵は船の針路を決める大事なものです。珍しい紋の一つであり、成立のいわれははっきりしませんが、櫂などと同じく海事に由縁、功績があったのではないかとされています。
丸に違い舵
丸に一つ舵
糸輪に三つ舵

かせ木|かせぎ
かせ木とは紡いだ糸を巻き付ける糸巻きのことです。ご存じでしたか。またこの紋は馬の轡にも似ていますので、別名くつわ紋とも呼ばれます。
かせ木
かせ木四つ目菱
角かせ木

金輪|かなわ
金属製の輪を図案化したものです。3つ金輪から始まり七つ金輪まであります。つなぐと美しいので幾何学的な紋様パターンとしてはよく使われますが、案外家紋で用いられているものは少ないようです。
四つ金輪
四つ組み金輪
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曲尺|かねじゃく
大工さんが使う直角に折れ曲がった形の金属製の物さしで、指矩(さしがね)のことです。当初は鉄製なので金尺または鉄尺(かねしゃく)と呼ばれていました。紋章はストレートに、そのまま表現されていますね。
曲尺
中輪に曲尺
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鎌|かま
田畑の仕事には欠かせない農具です。但馬地方では昔から「鎌祝い」という行事があり、稲刈りを終えた後、清めた鎌を三方に乗せ、供物をそなえて祝います。鎌は神社の神紋にも用いられており、神格化されていたようです。
一つ鎌
丸...

釜敷|かましき
金輪紋の変形です。見た目が釜敷きのような花弁状になるよう、金輪を組み合わせたものです。美しい図案がこの紋の特長ですが、これも案外使用家が少ない紋とされています。
五つ結び釜敷き
六つ結び釜敷き
六つ組み釜敷き
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鐶|かん
タンスや引き出しの引き手を図案化されたものとされています。成立のいわれは定かではありませんが、幾何学的に組み合わされた美しい紋の一つですね。
五つ鐶
鐶輪
三つ組み鐶
五つ鐶に三つ鱗
五つ鐶...

木|き
※この項「算木」参照
丸に右上筋違い二つ木
丸に三つ割り二つ木
六つ組木
陰山形に二木
組み違い木
変わり組木
丹羽違い木

杵|きね
いわゆる餅をつくためのキネのことですが、家紋で使われる図形は槌ではなく、中央がくびれた手キネです。餅は祝い事に用いられますので、キネも縁起がよいとされたのでしょう。なんとなく楽しい図形が多いですね。
丸に一つ杵
丸に...

杏葉|ぎょうよう
杏葉とは馬の装飾に用いる金具、革具のことを指します。仏教などと同じくして中国から伝わってきたとされています。なぜ杏葉の文字が当てられたのかは定かではありません。当初は鞍の付属品として用いられ、やがて牛車の装飾などを経て、家紋に転用されたとさ...

釘抜き|くぎぬき
釘抜きといえば、現代人の我々は鋏状のやっとこを連想しますが、通常家紋で釘抜紋といえば◇状の座を図形にしたものです。これは本来、座金を表しており、テコと組み合わせて使用します。ですから元々は釘抜座紋と呼ばれ、時代が下って省略されて釘抜紋と呼称...

轡|くつわ
轡は手綱をつけるため馬の口に装着する金具です。様々な凝った意匠のものがあります。尚武を意味するものとして家紋として成立したようですが、形状としては十文字轡(十字形)が多く見受けられます。
江戸時代はキリスト教が禁止されたため、十字架を...

久留子・来留子|くるす
久留子紋は別名十字架紋ともいい、ポルトガル語で十字架のことをクルスと呼んだからことから来ています。ご存じのように室町末期フランシスコ・ザビエルが布教のために来日、これを仏教僧侶の横暴を押さえたいと考えていた信長が利用する形で後援したため、た...

車|くるま
車は古くから貴人に用いられました。平安時代は貴族の乗り物として牛車が利用されたことは皆さんもご存じですね。家紋の車はこの牛車が元になっており、家紋として成立したのは鎌倉時代の初めです。
正式には源氏車紋と呼称され、古い紋の一つです。車...

鍬形|くわがた
鍬形とは兜の正面に立てられた二本の角状の飾り金具のことを指します。形状が鍬にていることから鍬形と呼ばれます。兜は武家が用いますので、この鍬形が家紋として使われるようになったのは必然です。
使用家の有名どころとしてはとしては紀伊徳川氏が...

剣|けん
家紋で云うところの剣は、反りのある片刃のいわゆる日本刀とは違い、古代の諸刃直刀を指します。三種の神器である草薙の剣のように、古代より剣は尚武のシンボルとして日本人にはとても尊ばれてきました。形状としては剣単独のものより、植物紋などと組み合わ...

剣菱|けんびし
菱紋のバリエーションの一つです。輪と組合せたものや、花菱に剣を組み合わせたものなど、色々の形状があります。
※ この項「菱紋」「花菱」「剣」を参照
四つ剣菱
八つ剣菱

五徳|ごとく
囲炉裏や火鉢などで炭火の上に設置し、鍋や鉄びんなどをのせるための支持具のことです。金輪紋や釜敷き紋のもとになったとされています。
据え五徳
真向き五徳
丸に置き五徳
太輪に五徳柏
五徳柏
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琴柱|ことじ
ことじと読みます。琴の弦につけ音程を調律するために用いる小物です。これを紋章化したものが琴柱紋です。紋様としては鎌倉時代、家紋になったのは足利時代とされています。
その形の面白さに加え、風流を愛する日本人の嗜好がよく出た面白い紋ですね...

独楽|こま
独楽回しのコマです。コマの語源である高麗(こま)から日本に伝わり、平安時代にはすでに男児の遊びとして定着していたという記述があります。豊臣氏と縁の深い紋とされていますが、楽しい家紋ですね。
丸に独楽
並び独楽
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算木|さんぎ
算木とは中国古代の計算用器具のことです。6つの木片を組み合わせて使います。易(占い)に用いられたことから、神聖なもとして尊ばれたようです。引両紋とよく似ていますが、棒の長さがすべて同じですので、見極めは簡単です。
算木
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地紙|じがみ
扇子に用いる紙のことを地紙と云います。幾何学的かつシンプルで印象的な図形ですので、紋章として用いられるようになったのでしょうね。
中輪に地紙
地紙
重ね地紙
三つ地紙
三つ重ね地紙
頭...

三味線駒|しゃみせんごま
三味線駒は三味線の絃をうける柱(じ)のことで、素材には象牙や水牛、竹などが用いられています。台形のような本体に、絃をのせる切り込みが三つ、中心には横に広い円形の穴があります。琴や三味線の柱を紋にするなんて、昔の人はおしゃれで風流ですね。
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将棋駒|しょうぎこま
将棋は、奈良時代に遣唐使などからもたらされ、その後室町時代末期に現代のルールに落ち着いたとされています。コマはシンプルで面白い形状ですから、家紋として採用されたのでしょう。
駒
並び将棋駒
三つ盛り将棋駒
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頭巾|ずきん
頭巾の家紋です。ベレー帽みたいな感じでしょうか、頭を覆ったりかぶったりする袋型の布製品です。江戸時代にはまる頭巾、角頭巾など20種類ほどあったそうです。
丸に頭巾
三つ頭巾
丸に三つ角頭巾
六つ頭...

筋違い|すじちがい
筋違いとは建築の柱や梁を補強する斜め状の材木のことをいいます。その形状から生まれた家紋なのでしょう。しっかり支えあい倒れないことを祈念して生まれた文様ではないでしょうか。
三つ組み筋違い
四つ組み筋違い
六つ組...

鈴|すず
鈴は古来より、東西通じて神聖なものとされてきました。鈴紋を用いている家は少ないのですが、熊野神社の神官鈴木氏にその例が見られます。鈴は神具の一つ(神鈴)でもあり、苗字との由来があるからでしょう。
一つ鈴
丸に三つ盛り...

銭|ぜに
銭と云えば、皆さんご存じ戦国大名の真田氏が使った六連銭(真田銭)が有名ですね。日本が本格的な貨幣経済に入ったのは安土桃山期以降で、それまでの貨幣はほとんど中国からの輸入によるものでした。
永楽銭その代表であり、家紋になったのは、永楽の...

宝結び|たからむすび
菱形に織りなすような飾り紐の結び方を紋章にしたものです。連続する美しい綾は、長寿や永遠の繁栄を表す吉祥紋として好まれました。
宝結び
角宝結び
宝結び蝶
陰輪に宝結び
丸に変わり華蔓結び
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玉(宝珠)|たま
玉は宝珠を指し、宝珠とは宝とすべき珠のことを表します。宝珠は、アラジンのランプのように思いのものを取り出すことできるとされています。一個欲しいですね。形状としては、火炎を噴き出しているバリエーションがあります。
変わり焔玉...

団子|だんご
楽しい紋ですね。串に刺した団子を表しているので、別名「串団子紋」ともいいます。戦国時代、敵の首を取るという意味が込められており、楽しい名前とは裏腹に、尚武を尊ぶ武家の紋です。通常、三串団子ですが、多いものでは四つ、稀に五つというものもありま...

千切り|ちぎり
千切りとは織機に取り付ける糸巻きのことです。千切りは契るにも通じ、縁起がよいとされています。紋様としては藤原時代にすでに成立し、家紋としても足利時代には使われていたとありますので、珍しい紋ですが、由緒正しい家紋の一つといってもいいでしょう。...

提盤・打板|ちょうはん
別名、雲版(うんぱん)とも言われ、禅宗で用いられる言葉です。修行僧に食事を知らせる打器のことで、青銅製で雲の形を刻んでおり、面白い模様であることから、衣服の紋様としても使われたとのことです。禅宗ゆかりの家紋といえましょう。
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