稲は主食であることからして、日本人に最も身近な植物ですから、古くから紋に使われています。元来、農業の守り神である熊野神社に奉仕する神官、氏子などに用いられ、熊野信仰の普及にともなって全国に広まりました。
積んだ稲穂は穂積とも鈴木ともいいます。鈴木はススキの当て字で、名字としても全国に普及し、稲紋は日本第二の大姓「鈴木」一族の代表紋になっています。意匠的には具象的な稲穂を束ねて丸型にしたものが基本形で、他の紋と組み合わせたものも多くみられます。
江戸時代には、大名や武家でおおよそ四十余家が家紋として使用したそうです。戦国時代には亀井氏(尼子氏の武将)、稲紋発祥と云われる穂積氏が用いました。その他主な使用家は大岡氏、近藤氏、岡田氏、中村氏、木原氏、根本氏、早川氏など。また、稲にちなんだ米倉氏、新籾氏、稲富氏、稲生氏、米野氏などです。
左廻り一つ稲の丸 |
右廻り一つ稲の丸 |
包み抱き稲 |
抱き稲 |
稲荷抱き稲 |
違い稲 |
二つ穂変わり抱き稲 |
包み抱き稲(変わり) |
丸に稲荷抱き稲 |
二つ追い稲の丸 |
稲鶴 |
抱き稲に向かい雀 |
糸輪に束稲 |
向かい稲菱 |